2012年11月24日土曜日

あの頃

全国模擬試験でTop10の成績を叩き出す子が妹で
数十人単位の教室内でビリケツだった15の小生に
「劣等の兄」と惜しみなく嫌味をくれたあの塾講師は元気にしているのだろうか。

教えてあげるよ
あの頃、あんたのお気に入りだった彼女は
名門大学に入学して、欝になって、自立どころか、100点どころか、人生赤点な生活をしてるよ。
そんな彼女にお年玉あげるんだ。
この時期ボーナス出るからさ。


親も笑っちゃうくらい掌返しで
「立派に生きてくれてありがとう」だってさ。
生んだ子供の中で、内心期待値が高い方が上手くいかなくて
期待できなかった方が案外世間様に顔向けにできる形になったことが嬉しかったみたいね。
勝手だよな。
本当勝手だと思うよ。


人生何がどうなるかなんて分からないよな。


劣等生な小生も企業に入って
今は社会人で、今は扶養家族から離れて自分で稼いだ金で生きてる。
スーツ着て、若輩で未熟だから苦労することが多いけど
そんな自分も誇らしいって素直に思える時があるんだよ。
「あんなに出来が悪かったお前が?」って貴方は思うのかな。
そんな出来損ないでも足掻いてみるもんで、案外悪くない生活を手に入れてるよ。
あの頃の貴方とどっちが給料高いんだろうね。


教室にいた皆は元気かな。
あの試験で取った点数の何がその後の人生の具体的な幸せに結びつくのだろう。


あの頃の貴方とそう大差ない年齢になったよ。
貴方はそろそろ薄給と過労でくたばった頃かな。


この歳になってみて、色々分かったんだ。
別に正社員の塾教師なんて凄くも何ともないってこと。
三平方の定理なんてBtoBの世界じゃ商談、会議のネタにもならないってこと。
くたびれたポロシャツで中学生相手に偉そうにしてる貴方はかっこいいのかい?


貴方が大嫌いだったよ。
あの教室がある駅も、道も大嫌いだったよ。
何より惨めな自分が大嫌いだったよ。
惨めで悔しくて悲しくていつも怖かった。


恥ずかしながら小生は今も劣等感を拭うことに必死だよ。
失敗した時、上手くいかなかった時、またぞんざいな扱いを受けるんじゃないかって
心配で堪らないんだよ。


あの頃の貴方とそう大差ない年齢になったよ。
貴方は薄給と過労でくたばった頃かな。


あの駅を通過する度に、あの惨めな自分を思い出して
二度と戻るかと誓うのだよ。